朝から夕方まで畑で汗を流し、ようやく一息つけると思いきや…机に向かってその日の作業内容や出荷数をノートに書き留めたり、パソコンの表計算ソフトに入力したり。農家の皆さんにとって、この「一日の終わりの事務作業」は、想像以上に負担の大きな仕事ではないでしょうか。

「ITとか細かい作業は苦手」という方でも、最近話題のAIを使えば、ノートとペンの代わりに「スマホにしゃべるだけ」で記録が完了するカンタンな仕組みが作れます。この記事では、農業の現場ですぐに活かせるAIの使い方を分かりやすく解説します。

農業現場の「記録づけ」が辛い理由

農作物の品質を安定させたり、来年の計画を立てたりするためには、日々の記録が非常に重要です。いつどこでどのくらい収穫・出荷したか、どんな薬を使ったかなど、きちんと残したい内容はたくさんあります。しかし、これがなかなか続きません。

疲れた体でパソコンに向かう苦痛

炎天下での作業や力仕事を終えた後、泥だらけの手を洗ってパソコンの電源を入れるだけでも気力がいります。「今日は疲れたから明日にしよう」と後回しにしてしまい、気づけば週末にまとめて思い出しながら書くことに…。これでは正確な記録は残せません。

紙のノートでは後から振り返るのが大変

パソコンが苦手だからとノートに手書きでメモしている方も多いでしょう。手軽な反面、いざ「去年のこの時期はどうだったかな?」と振り返りたい時に、ページをめくって探すのに膨大な時間がかかります。文字がかすれて読めない、ノートをなくしてしまうといったトラブルもよく起こります。

トラクターの前で、泥のついた手袋を外しながら、ため息をついて手帳を眺めている農家の男性

スマホの「音声入力×AI」が記録の手間をゼロにする

そんな記録の悩みを劇的に解決してくれるのが、スマートフォンとAIを組み合わせた「音声による自動記録アップ」です。実は、手元にあるスマホにお手伝いをお願いするだけで、事務作業は驚くほどラクになります。

しゃべるだけで文字にしてくれる

最近のスマートフォンには、人間の声を正確に聞き取って文字にする機能が備わっています。さらに、賢いAIが裏側で働いているため、例えば「今日はAの畑でトマトを150個収穫した。その後、消毒液を散布した」と普段の言葉でしゃべるだけで、その通りの文章が自動でスマートフォン上に打ち込まれます。

AIが勝手に「表」に整理整頓してくれる

ただ文字にするだけではありません。AIの本当にすごいところは、しゃべった内容を読み解いて、「日付」「作業場所」「品目」「作業内容」「数量」といった項目ごとに、きれいに分類してエクセルなどの表計算ソフトに入力してくれる点です。つまり、あなたがすることは「独り言を言う」だけで、帰宅した時にはすでにパソコンの中にキレイな日報が完成している状態を作れるのです。

実際にどんなふうにラクになる?活用イメージ

この仕組みを導入すると、毎日の農作業の風景はどのように変わるのでしょうか。

軽トラの中で記録が完了

これまでの「家に帰ってから机に向かう」という作業がなくなります。農作業を終えて軽トラに乗り込み、エンジンをかける前にスマートフォンの画面に向かって、「B畑、キャベツ50個出荷」としゃべるだけ。たった10秒で、その日の記録作業はすべて完了です。家に帰ったら、ゆっくりお風呂に入り、冷たいビールを飲むことができます。

来年の「予測」がカンタンにできる

データが表としてきっちり整頓されていると、AIに「今年の記録をもとに、来年の今頃はどれくらい収穫できそう?」と質問できるようになります。勘と経験だけでなく、過去の正確な記録に基づいたアドバイスをAIがくれるため、より計画的な農業経営が可能になります。

軽トラの運転席で、スマートフォンに向かって笑顔で話しかけている農家の様子

パソコンが苦手でもOK!始めるための3ステップ

「なんだか難しそう」と感じるかもしれませんが、最新の仕組みを組み合わせるのに専門的な知識はいりません。以下のステップで小さく試してみましょう。

ステップ1:スマホの音声入力に慣れる

まずは、お持ちのスマートフォンで「音声で文字を打ち込む」ことに慣れましょう。LINEなどのメッセージアプリを使って、家族への連絡をキーボードではなく「マイクのボタン」を押してしゃべって送ってみてください。「意外と正確に聞き取ってくれるな」と実感できるはずです。

ステップ2:無料の対話型AIに話しかけてみる

次に、無料で使えるChatGPTなどの対話型AIアプリをスマートフォンに入れ、マイク機能を使って話しかけてみます。「私がこれから言う農作業の記録を表の形式に整理して」とお願いし、その後に作業内容をしゃべると、AIが瞬時にキレイな表を作ってくれる体験ができます。

ステップ3:使いやすい専用アプリを入れる

AIに慣れてきたら、農業の記録に特化した「音声入力で作業記録がつけられる農業用アプリ」を試してみるのが一番の近道です。「農業 記録 音声」などで検索すると、いくつかの便利なアプリが見つかります。基本的な機能は無料で試せるものが多いので、操作画面が自分にとって見やすいものを一つ選んでダウンロードしてみましょう。

まとめ:あなたの相棒としてAIを畑に連れ出そう

AIと聞くと、工場でロボットが働くような大掛かりなものを想像しがちですが、決してそんなことはありません。あなたのポケットに入っているスマートフォンの中にいる「メモ取りや整理整頓が得意な、耳の良いお手伝いさん」のようなものです。

パソコンや細かい文字を見るのが苦手な方ほど、声だけで完結するこの仕組みは大きな効果を発揮します。毎日のつらい事務作業から解放されるためにも、まずは明日の作業終わり、スマートフォンに向かってその日の記録を「しゃべって」みませんか?